HOME > 埼玉県石材業協会 青年部

青年部の一年は、例年4月14日(良い石の日)に開催される総会に始まり、作業着例会としての6月定例会、2013年度は東日本大震災慰霊碑石工事ボランティア、2014年度は静岡県青年部との合同事業としての研修旅行を10月定例会として行い、新年の鑿焼きと新年会を兼ねた1月定例会、年度の最後に家族親睦のための家族会を開催します。

自己研さん、技能の伝承、親睦の各要素を織り交ぜ、充実した活動を行っています。

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2015年2月 家族会

埼玉県下一の繁華街、大宮のモノマネバー『ジェイジェイ』で家族親睦会を行いました。

参加者全員に賞品が当たった抽選会で盛り上がってきたところで、モノマネパレード!小さい子供たちにはちょっと理解しがたいモノマネが多かったかもしれませんが、パパとママは大盛り上がり!貸し切りが終わりお店を出るとき、次のショーを見る大勢のお客さんが並んでいてびっくり!

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2015年1月 餐(のみ)焼き・新年会

1月定例会ではここ数年、石工の伝統行事である鑿焼きを行っています。

コークスを焼いた炉を用意し、順番に鑿焼きを行います。炉に各自持参した鑿等を入れ、先端が真っ赤になった鑿を取り出し、叩いて形を整えます。
何度も炉と均し台を行ったり来たりし、形が整った所で、次は焼入れをします。整形した鑿の先端を炉に入れ赤くなった所で取り出し、水バケツの中へ入れます。
この焼きの入れ加減がとても難しく、色の変化で焼きの入れ具合を見分けますが、とてつもなく難しい作業です。

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2014年10月 定例会

〜静岡青年部合同研修旅行〜

研修旅行は青年部独自で行うことは少ないのですが、本年度は静岡県青年部との交流を兼ねて静岡市に研修旅行にいってきました。
清水次郎長のお墓のある静岡市清水区(旧清水市)にある梅蔭寺と次郎長の生家、徳川家康が眠る久能山東照宮の参拝、三保の松原など静岡市の名所を観光し、夜は静岡の青年部との親睦会と長い夜の交流会を持ちました。

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2014年6月 定例会

〜機械を使った『墓誌下駄』の作製〜

『作業着例会』として、ポリッシャーを使った手磨き加工を行い墓誌下駄の製作を行いました。

まず研磨加工、この基本をベースとして亀腹加工、最終工程である下駄の切込み作業を一行程ずつ丁寧に行いました。
たとえ最初は時間が掛かろうとも、日々加工していれば確実に時間は短縮し精度も上がるはずです。やらなくては何も変わりません。


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2014年4月 総会

〜『祈りの杜』樋口住職講演〜

総会後の講演会では、前年度に『祈りの杜』造成ボランティアにて協力させて頂きました、宮城県石巻の祈りの杜をつくる会会長でもあります西光寺副住職樋口伸生氏を講師としてお迎えし、震災発生当初から現在に至るまでの様々なお話をお伺いし、最後には我々埼玉県石材業協会青年部に対し感謝状を頂きました。


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2014年2月 家族会

マジックショー

大雪で日程変更というアクシデントに見舞われながらも、多くの奥様、お子様方に参加していただき、マジックショーとビンゴ大会を楽しみました。
マジックの内容は、観るまで気になっていたのですが、家族会に合わせたマジックをしていただいて、驚きの顔がたくさん見られて、とてもホッとしたものでした。とくに一番驚いていたのは会長でした!



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2013年10月 定例会

〜石巻『祈りの杜』石工事ボランティア〜

あの想像をはるかに超える甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から二年半のこの時期に石巻の西光寺住職樋口伸生氏が会長を務めます、『祈りの杜をつくる会』の思いに賛同し、大内青年部会長と共に大勢のメンバーが、10月定例会事業として祈りの杜の石工事のボランティアに参加しました。


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2013年6月 定例会 

〜銭鉢作成!〜


2013年6月28日、鴻巣市の埼玉県左官業会館において、埼玉県石材業協会青年部の6月定例会を開催しました。

本例会は『作業着例会』として、道具を使った手加工を行いました。


「ものづくり」を仕事とする私達も、現在では機械化が進み、道具を使って加工する機会も減ってきています。
そこで今回、白河石を手加工して『銭鉢』を作成し、もの作りの楽しさと、作り上げることによって得られる達成感を体感しました。



当日の模様です。

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2013年4月 総会

〜大内浩明 新会長誕生!〜


去る4月16日、マロウドイン熊谷において青年部総会を開催しました。
例年4月14日の“よいいし”の日に開催していますが、本年は日曜日であったことから上記日程となりました。

本総会では、通常議案に加え、会長交代の議案も無事承認され、石匠風間の大内浩明君が埼玉県石材業協会青年部第7代会長に就任しました。

木村希前会長が仕事に生かせる勉強をテーマに、接着剤、コンクリート、地盤(D-box)などについての研修例会を行ってきたのに対して、大内新会長は「モノ作り」という視点に立った事業を展開していきたいと所信を述べました。

総会終了後、東日本大震災を風化させない活動推進センター所長、中井政義氏による「東日本大震災を風化させないために」と題する記念講演会が開催され、参加者全員が熱心に耳を傾けていました。


中井政義氏ブログはコチラです。
http://profile.ameba.jp/successboss/


懇親会においては、篠原雅之第2代会長、服部顕彦第4代会長を含む5名の先輩方に卒業証書授与式が執り行われ、木村直前会長へ感謝状と花束を贈呈しました。


当日の模様です。

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正会員


正会員とは、石材一般小売業者です。


会員氏名 社  名 住  所 電話番号
天沼 毅大 ㈲天沼石材店 埼玉県桶川市南2-5-21 048-773-2074
新井 幸一 新井石材 埼玉県大里郡寄居町富田581 048-582-0697
新井 聡之 新井石材店 埼玉県熊谷市上之862-1 048-522-0418
飯野 昭郎 ㈲光栄石材 埼玉県志木市中宗岡2-17-2 048-476-6033
石黒 広 石黒石材店 埼玉県秩父郡皆野町皆野2155-4 0494-62-0821
石塚 大右 ㈲石塚石材店 埼玉県深谷市小前田934-1 048-584-3861
石塚 幹正 ㈲石塚石材 埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸3-11-4 0480-32-0243
今井 正 ㈲今井石材 埼玉県羽生市東7-1-5 048-562-1800
浦木 友徳 ㈲浦木石材 埼玉県朝霞市東弁財2-5-2 048-462-0389
江原 一成 江原製石 埼玉県秩父市大畑町8-7 0494-24-7053
大内 浩明 石匠 風間 埼玉県深谷市深谷町5-15 048-573-2035
大塚 崇行 ㈱大塚 埼玉県上尾市緑丘2-5-6 048-773-1234
大西 克幸 ㈱埼玉石材 埼玉県朝霞市岡2-2-23 048-465-8520
小笠原 満男 日本石材皆野店 埼玉県秩父郡皆野町皆野2132-4 0494-62-5399
小川 明彦 ㈲小川石材店 埼玉県川口市川口1-2-17 048-222-5447
小川 一弘 ㈲石の店小川 埼玉県熊谷市肥塚1370-3 048-525-3303
乙田 貴志 ㈲新井石材店 埼玉県さいたま市北区土呂町1-25-3 048-664-0220
柿木 寿人 柿木石材店 埼玉県深谷市中瀬682 048-587-4114
木村 希 ㈲木村石材 埼玉県所沢市宮本町2-15-13 04-2924-6560
栗林 章高 ㈱栗林石材 埼玉県さいたま市中央区大戸6-12-10 048-824-2787
小泉 優作 小泉石材店 埼玉県所沢市東町21-2 04-2922-2872
郡 篤一郎 ㈲山秀石材 埼玉県三郷市早稲田5-7-10 048-958-6017
小林 豊 小林石材店 埼玉県熊谷市小江川2186-3 048-536-3982
篠田 雅央 ㈲篠田石材工業 埼玉県三郷市番匠免1-74 048-952-1054
篠原 雅之 篠原石材工業㈲ 埼玉県草加市苗塚町325-2 048-928-6652
島村 拓也 ㈲島村石材 埼玉県日高市高萩2001-4 0429-89-5679
清水 陵 清陵石材 埼玉県入間市東町5-1-18 04-2937-4919
関戸 庸二 ㈲関戸石材 埼玉県川口市安行吉岡1498 048-281-2345
反町 順司 そりまち石材店 埼玉県熊谷市桜町2-9-11 048-522-5474
田口 重安 ㈲田口石材店 埼玉県草加市谷塚上町279 048-925-3211
田中 幸作 田河家石材,㈲ 埼玉県越谷市蒲生愛宕町11-11 048-988-1483
中村 典正 ㈲黄金井石材 埼玉県川口市並木元町1-45 048-252-4192
二上 昌弘 ㈱二上家 埼玉県所沢市北原町936-5 04-2993-1858
仁村 武史 ㈲仁村石材店 埼玉県川越市富士見町1-5 049-222-2652
野上 直芳 日本石材 秩父店 埼玉県秩父市大宮5706-5 0494-22-5070
野口 克彦 ㈲野口石材 埼玉県本庄市滝瀬1434 0495-24-1482
野口 大志 ㈲野口石材店 埼玉県熊谷市大原1-16-31 048-522-4139
野中 正憲 石のSHOWA 埼玉県さいたま市北区別所町44-41 048-651-8538
服部 顕彦 ㈲服部石材 埼玉県行田市城南10-11 048-556-3693
服部 智也 ㈲服部石材店 埼玉県久喜市東3-11-5 0480-21-0406
村田 淳史 ㈲村田石材工業 埼玉県秩父市道生町12-7 0494-22-4114
元田 利治 ㈲元田石材店 埼玉県東松山市高坂808 0493-34-4532
森藤 満 森藤石材 埼玉県児玉郡美里町関1078-2 0495-76-3336
山岸 泰輔 ㈲山岸石材 埼玉県行田市城西3-5-12 048-556-1017
山田 英希 山田石材店 埼玉県本庄市本庄2-5-7 049-522-4875
山本 和典 ㈲山本石材 埼玉県川口市道合918-17 048-286-1128
吉岡 崇 ㈲石の吉岡 埼玉県本庄市中央1-4-16 0495-22-3229
吉岡 盛二郎 吉岡石材工業 埼玉県さいたま市桜区南元宿1-3-20 048-862-1030



準会員


準会員とは、正会員の事業運営をサポートする石材関連卸専門業者です。


会員氏名 社  名 住  所 電話番号
阿部 正 ㈱阿部石材商会 埼玉県越谷市大間野町1-41-2 048-985-1512
阿部 勉 ㈱成世南海堂 埼玉県さいたま市緑区三室646-2 048-256-9881
石田 好美 ㈲オニコン 埼玉県本庄市児玉町児玉871-3 0495-72-4731
猪尾 憲充 いずみ産業㈱ 千葉県我孫子市天王台4-17-1 04-7184-6171
潮田 和彦 ㈲福乃家 茨城県桜川市真壁町古城316-1 0296-20-7887
海野 弘幸 ㈲海野石材店 神奈川県足柄下郡真鶴町岩50-60 0465-68-2861
梅﨑 文睦 平成通商㈱ 茨城県古河市中田1288-5 0280-48-3747
唐澤 伊佐夫 ㈱群馬ストレック 群馬県北群馬郡楱東村長岡1752 0279-55-5111
川本 恭央 ㈲川本商店 埼玉県川口市上青木1-7-4 048-254-2222
斎藤 賢次 ㈱はなつか 福島県相馬郡飯館村臼石町96-2 024-565-5368
佐藤 忠男 ㈲丸忠ストーン 福島市鳥谷野字宮畑95-1 024-545-8114
白簱 秀樹 有限会社 ルイ 千葉県白井市富士85-25 047-441-7188
杉本 貴雄 スギモト工具サービス 埼玉県さいたま市大宮区大成町2-343 048-653-1791
瀧澤 秀樹 瀧澤石材彫刻 埼玉県東松山市松山町3-4-17 0493-23-8975
竹中 章平 TakeShoコミュニケーションズ㈱ 埼玉県さいたま市桜区上大久保9-16 048-699-9731
戸高 健司 ㈲アートストン 埼玉県新座市新座1-1-6 048-481-5684
土橋 弘晃 ㈲創石 埼玉県三郷市番匠免1-269-1 048-954-1483
外山 眞基 ㈱関東石材 埼玉県三郷市栄4-60 048-953-1331
中江 庸 ㈱石文社 東京都千代田区神田多町2-3-6川島ビル401 03-5256-0740
中島 英樹 出川工業㈱ 茨城県桜川市真壁町長岡401-1 0296-55-0074
林 宏樹 石の現場彫刻 林 千葉県野田市山崎2794-18 0471-23-6171
原 伝 原産業㈱ 埼玉県さいたま市中央区本町西3-6-15 048-853-2381
町田 昭文 ㈱リコライフ 東京都渋谷区桜丘町20-4 ネクシィーズスクエアビル5F 03-6892-0202
益山 敏之 ㈲南印度洋行 東京都中央区八丁堀2-1-9川名第一ビル5F 03-5566-0777
宮本 勝 石の開成 埼玉県羽生市発戸1539 048-565-2170
矢作 信治 ㈲矢作商店 埼玉県さいたま市西区土屋416-1 048-623-3051
山口 勝士 ㈱山口石材工業所 埼玉県日高市旭ヶ丘字竹の台672-6 042-989-2423
山口 康二 ㈱日本石材工業新聞社 愛知県岡崎市上佐々木町鹿乗21-3 0564-31-2100
山田 政博 山田石材計画㈱ 宮城県伊具郡丸森町大張大蔵小倉10-1 0224-75-2105
吉田 光 インターロック㈱ 茨城県桜川市高久2148-2 0296-58-7540
吉田 雅之 ㈲吉田石材工業所 東京都西多摩郡瑞穂町箱根ヶ崎松原1371-1 042-557-4154

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日本石材産業協会の石材施工管理技術検定制度委員長、
そして埼玉県石材業協会常任理事・前埼玉県石材業協会技能士会会長の
小川長四郎様(川口市(有)小川石材店)がまとめました報告書を氏のご厚意により
ご寄稿いただきましたので、掲載いたします。

宮城県北部地震被害調査報告書

もくじ

  1 震度6で墓石は倒れる
  2 ジョイントにボルトは直下型地震に弱い
  3 ボンドが接着剤として万全ではない
  4 カロートの天部がウィークポイント
  5 外柵と基礎
  6 地震で被害が出た後何をどうしたらいいのか

1 震度6で墓石は倒れる

宮城県北部で震度6強の地震が有り、墓所にも大きな被害が出たことはテレビ、新聞等で知ってはいたが聞くと見るとでは大変な違いでした。
地震が起きると学者の方達は震源地に近い墓所の墓石の倒れ方を見て、地震の強さや、ゆれ方、方向等を判断するそうですが、それは如実に墓石の倒れ方に現れるからだと思います。

今回見せていただいた、矢本町の願成寺の墓所は、小高い山の麓に有り、その山が崩れる心配があるので県が立ち入り禁止にしています。
ですから地震が起きた時の状態をそのまま残しているので、地震から一ヶ月以上経った9月6日に現地に入ったのに、有りのまま惨状を見られたのです。
江戸時代の墓石は比較的に石のボリュームも少なく、只重ねてあるだけの墓石なので倒れたら起こせば良かったのですが、明治以後現在に至ると墓石も墓所の面積に応じて大きく作る傾向にあるので倒れると被害も大きくなります。

淡路、阪神の地震は7.3の震度だったので、全てに大きな被害を受けました。宮城の地震は夜中と朝方、夕方に3回、同じぐらいの地震があり、地震計に記録された回数は1200回にも及び朝方の地震は直下型で一番大きかったと聞きました。
現地の尾形石材の社長さんにご案内を頂いたのですが社長さんのお話しでは夜中の地震にご自分の家の墓はどうなったかと心配したお施主さんがいたそうです。
その方は朝になって願成寺のご自分の墓所を見るべく来た朝の7時過ぎに本震の直下型地震に会って、目の前で尺角以上の竿石が宙に浮き、飛んで倒れる光景はこの世ではなかったと言ったそうです。
幸いこの方は怪我もされず貴重な体験をなされたのです。

この墓所でも地震に備えて出入りの業者の方々は、ジョイントにボルトを入れたり、ボンドで点づけをしてコーキングで目地をするなど努力をなされたのですが、殆んどの墓石が倒れるか倒れなければ「ずれ」を生じるなど、無傷な墓所は皆無といっても言いすぎではないほどの惨状でした。

震度が6とか7とか数字の上では1だけですが地震のゆれ方の違いは1ではなく、全然違いがあることは、誰もが知っていることですが、震度6では墓石は倒れるということを認識せざるを得ません。
5月26日にも気仙沼の方面が震源で同じような強さの地震があり、その時も相当数の墓石がずれたのを良かろうと考えられた工法で直した墓石も震源に近い願成寺では万全ではなかったように思われます。

震度6以上の地震では今までの工法では通用しないとなれば天災と考えるようになるのでしょうか、
弱気ですが、惨状を目の前にすると、そのように思ってしまいます。

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2 ジョイントにボルトは直下型地震に弱い

宮城県北部地震の本震は直下型地震のため震源に近いところでは20cmから25㎝は浮き上がったといわれています。神戸の地震では70㎝浮いたといわれています。
墓石の竿石とスリン又は上台とボルトでつないでいる石材店は多数あると思いますが、ボルトの長さはどのぐらいのものを使用されているでしょうか。
大方の人は10㎝から長くても20㎝ぐらいだと思います。この長さですと上と下に5㎝から10㎝だけしか入っていません。しかも殆んどが丸い穴で丸いボルトなので強い「力」の地震と浮き上がる「力」とで抜けてしまいます。取り付けの条件が良くないと100パーセント抜けて元に戻る時に元の穴に収まらないからボルトのつなぎをとった墓石は全部倒れてしまいます。

取り付けの条件といいますと、大部分の人がスリン、上台の方にボルトを立てて竿石を上から穴を合わせて下げて来るので上の穴に十分、モルタル又はボンドが充填されていないのが実情です。
ですからボルトをジョイントに使用するのであればボルトの表面に凸凹があるものを用い、穴に遊びをつけない、つまり良くモルタル、又はボンドを入れる、そして上の石にボルトを取りつけて下へ下げるべきでしょう。
直下型には弱いと結論しましたが横ゆれの地震には強いのではと思います。
伊豆の地震では竿石の下部の穴のゆるみが大き過ぎたのかモルタルをつめるのが甘かったのか竿石が横ゆれしながらボルトを昇って倒れた様子がビデオに記録されたそうです。

ボルトをジョイントに使う、使わない、又使用する場合に材質は、長さは、モルタルかボンドか等々いろいろ論議されなければ結論づけられない問題だと思います。

今回の現場を見た限りでは石のジョイントは全部折れてしまっていて、例え2寸丸の太さでも地震には耐えられません。
それと一様にいえることは竿石とスリン、上台とのジョイントは気を使っているのですが上台と中台とのつなぎは余りウェイトを置いていないということです。今回の地震でも上台が中台とつながっていれば或いは上台が横すべりしなかったのではと思われる状態の場面が何ヶ所か見られました。

以上直下型地震には安易なボルトのジョイントはむしろ害になるということです。

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3 ボンドが接着剤として万全ではない

ここ数年外柵でも墓石建立でも接着剤が使用され昔のようにノミで合口を荒してモルタルで施工するのが圧倒的に少なくなりました。

呼び名と知識が正しいのか解りませんが石材施工では変性シリコーンをガンで注入する接着剤とエポキシ系の二種類を混ぜるタイプと二種類あるようですが前者が主に墓石工事で使われ、後者は建築で多く使われるように見受けられます。
これら接着剤の大きな欠点は使用する時に石材が水分で濡れていては効果がでないのと、石面に埃がついていたり、よごれているとやはり接着効果がないといわれています。
ボンドも正しく使わなければつかないということです。
それとボンドの歴史が古くはないので接着効果が年月と共にどのくらいあるのかはこれからいろいろな場面に会って少しずつ解ってくると思われます。
現在表面劣化は20年といわれていて中の耐用年数については表面劣化と同じという見方と空気に触れない部分は大丈夫なのではないかという見方もしていますが我々現場の人間はボンドの専門家ではないので、あまり知識を持たずに使っているのが実情です。

地震の現場を見ますとメジにコーキングだけでは接着効果はありません。
これは前にも述べたように5月26日の地震に時に「ずれ」を直した折にコーキングでメジを施工したものが倒れてしまっているからです。
それから点づけした墓石も倒れていました。この点づけも石面が濡れていなかったか、よごれていて効果がなかったかは解りませんが点づけでも安心はできないということです。

現場にはボンドの会社の方もいましたが、この方達の見解は点づけでも正しく使い、そしてボンドをたっぷり使って厚めのメジをつければ、ボンドがクッションの役目をして地震のゆれを吸収するのではないかと説明していたのです。
だとすると墓石の上から下までガッチリ固めてしまうより各台の間にゆるみを持たせてゆれを吸収する方法も耐震工法の一つかとも思いました。
最近の高層ビルの耐震部分をビルの下部分に特殊なゴム状なものを用いてゆれを吸収する工法だと聞けば墓石もゆれの吸収方法を考えた時にボンドの会社の方が言われた工法も一理あるかなと思います。
ですが神戸の地震の際にかなり多くの墓石が倒れた中に各部分がずれもしなかった墓石がポツンと立っていましたが、その墓石のメジが殆どなかったように記憶しているのです。

ボンドで施工すれば地震には絶対強いとは言いきれない前にボンドの耐用年数の方が気になった のです。


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4 カロートの天部がウィークポイント

宮城県北部地震では何本か芝台毎、斜めにカロートの中に落ちた墓石が見られました。

現地の尾形社長の説明ではカロートはコンクリートの出来合いの枠かみかげ石で作っているとのことでしたがコンクリートは上部の幅が少ないため墓石全体がゆれて落ちたのと、みかげの場合も滑りが良くて落ちたという見解でした。
それほどゆれが大きかったのと芝台とカロートの間が意外とついていなかったことが考えられます。
宮城県の芝台は一枚物が多いので重量もあり四ツ合わせと違ってばらばらになる事は考えられません。


この実状を見るとかロートはお骨の安置場所がせまくなってもやむを得ませんからカロートの上部の幅をとる事と芝台とカロートの間の据えつけを考える必要があります。

芝台でお骨壷を押しつぶしたカロートも有りましたがお骨が見えないようにところどころに
ブルーシートでおおわれた墓地がありました。お施主様の切ない気持ちが良く解ります。

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5 外柵と基礎

一昔前には地方では外柵を積む習慣がなかったのですが最近は都会も地方もなく外柵、カロートが作られるようになってきました。
どこで見ても中国産の立派な外柵があります。今回見た墓所でもこれらの外柵がものの見事に破壊されていました。
先ず目についたのは切削のまま荒しもしないでモルタルで積んだ外柵は全部といっていいほど動いています。

場所に依っては合口を荒さず取り付けた外柵は地震でゆれる前に自動車が通るゆれでもメジ切れして合口がはがれてきます。
前述のように接着で据え付けるのであればノミで合口を荒す必要がないので、ノミで荒してモルタルで据えつける工法が少なくなったのでどちらが強いのかはこの現場では比較できる外柵がなかったので結果を見ることは出来ませんでした。

土地柄仙台石の間知積みがありましたが、間知積みは原石同様なのでゆれには強いようで被害には会っていません。
山裾なので地盤は固いと思われますので、基礎工事は軟弱な地盤に工事を施工するより楽だと感じました。
然し布基礎はものの見事に破壊しています。
同じ境内地に区割りされた新墓地もできていましたが、そこは通路から墓所までベタコンクリの基礎でわずかに地割れのヒビが走っているところが一ヶ所あるだけで被害は墓所にはなかったように見られます。

できれば盤の広いベタ基礎の方が良いのかという気がします。
この新墓地の外柵はボンド施工で外柵石の内側にはL金具のジョイントも使われています。
このジョイント金具が役に立ったのかどうかは解りませんが新墓地の被害は無かったように見受けられました。
然しジョイント金具も阪神大震災級の実験ではねじれたり、のびたりしてしまうそうなので金具必ずしも完全ではないと言えます。
基礎はベタ、モルタルで据え付けする時は合口を荒す、金具も使用するのが地震対策で有りやらないより、やった方が良いというのが結論になると思います。

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6 地震で被害が出た後何をどうしたらいいのか

地震も最近は予知できる時代になったが、これも完全に予知できるとはいえないものがあり、やはり「いつ、どこに、どのぐらいの規模で」起きるのかは誰にも予測できないのではないのでしょうか。
では地震があって、耐震工法で施工したにもかかわらず、被害がでた時に後の始末はどうするのかが問題になります。

阪神や今回の宮城の地震のように、天災といっても過言ではない、全体的に被害を被った時どうしたのか現地の人々に聞いてみました。
基本は施主さんの要望に沿って修復するのが圧倒的に多いようです。ですが全員の施主さんが修繕費を出せるとは限りません。
ご自分の住居が被害に会っていれば墓どころではないでしょうし、一人一人条件が違ってきます。
それと地震後には石離れという現象が起きて、しばらくの間は新しい墓石が売れない時期が続くそうです。
修復ですが神戸のときはお寺さんが修復費用を負担したという話も聞きました。又宮城では他県の団体が見舞金を送ったそうです。
このように地震後にはとにかく元に戻さなければという心理は、誰しも持つようです。


今回調査に立ち会った人の中でも保険が考えられないかという提案がありました。
いろいろな方法があるのでしょうが基本的にはお客様に地震保険に入っていただき、保険会社との取り次ぎを石材店がやるということです。


全国にどのくらいの墓石が立っているか解りませんが、地震があって倒れる墓石はパーセントにすればいくらでもないと思いますので、保険料はかなりおさえられるのではないでしょうか。
ですが保険会社としては全国の多くの数の墓石が保険に加入しなければという条件が示されると思います。保険制度もいざという時の修復費用になります。

その他に墓石のデザインを地震に強い形に替える必要性も話の中に出ました。
竿石が倒れる被害が多いのですから竿石の比率を現在の角の2,5倍にこだわらす、角の2倍にしただけでも倒れを防げられるのでないかということです。

では高さが低いのなら洋形墓石でいいではないかという話になるでしょうが、安全なのは下部の居づきが広いという条件がつくと思います。デザイン墓がもてはやされている時代ですから竿石の長さをつめるという発想も耐震工法の一案かと思います。
後は相互補助の精神だと思います。見舞金の援助とかこのような報告書を公開するのも補助の一環だと思います。
神戸の時は他県から来た業者が倒れている墓石を只建てるだけで一本5.000円で請負い荒稼ぎした火事場泥棒のような業者もいたそうです。


地震対策は永遠の課題なのでしょうが悲観的な見方で申し訳ないのですが地盤のゆれ方が問題で願成寺でも墓石はずれたが倒れなかった列と見事に倒れた列があり、運不運も伴います。


基礎の下の地盤がゆれるだけでなくずれて動いたら、今までの耐震工法は役にたちません。
地震国日本の宿命のようなものを感じるのです。

一日も早い復旧を見て被害を受けられた仏様が安らかに眠られることをお祈りいたします。

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